AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する
第8話
writen by アルト
「…ん…うん……朝か……」
ちょうど午前6時になったところだった。鳥の声がする。
寝直したかったが今日は思うようにはいかず、寝れなかった。
のろのろとベッドを出て制服に着替え、軽く髪を整えながらリビングに向かう。
「あら、おはよう。今日は珍しく早いのね〜」
母さんがちょうど朝食の準備をしている。
「うん。おはよう」
「今日は学校で何かあるの?」
母さんはトースト、サラダ、スープ、コーヒーと順に並べていく。
「別に…いつもより早く目が覚めただけだよ」
そう言ってコーヒーを口にする。久しぶりの朝食は温かくて美味かった。それをひとしきり平らげて家を出る。

「んじゃ、いってきます」
「ん、いってらっしゃい。気をつけて」
扉を開けると、やはりこんな時間なんで少し薄ら寒い。
人の姿もまばらだ。
いつもよりゆっくりと自転車をこぐと、遅刻ギリギリじゃ目に入らない景色も見えて新鮮だ。
学校の門を抜けると朝練を終えそうな生徒がちらほらいた。グラウンドの前を通って教室に向かう。
校舎の中はいつもより静かで、少しの生徒が居るだけだ。教室には鍵がかかっていた。職員室へ鍵を取りに向かったが、昨日のこともあって、足取りが重かった。のろのろと歩いていると、前から見飽きた姿が近づいてくる。
祐希だ。俺に気付いたようだ。
「のゎっ!…珍しいこともあるもんだなぁ…」
「おっ、鍵!ラッキー♪」
「お、おまえ本当に純夜なのか?」
鍵を受け取り、ドアを開ける。
「朝からメガネ曇ってんじゃね?俺はおまえの良ぉく知っている遅刻常習犯の上杉純夜様だよ」
「なら、なんだ?今日は矢の雨でも降るのか?いや、もしや世界の終わりか?」
「…それはそれでありかもな」
「え?」
「や、なんでもない」
なんてこと言ってんだ、俺。
教室の窓を開けていると朝練を終えた紗季がやって来た。
「おはよ。朝練お疲れ」
そう声をかけると、
「…!?ゆ、祐希ぃ…なんかいるぅ…!」
「見ちゃいかん」
「――な――!?失礼にもほとがあるんじゃないのか?」
少しムッとしたが…朝から俺が居るのって、そんなに変かぁ…?


――いつ魔物に狙われてもおかしくない――
――そのために闘うのよ――
授業中も、ずっと昨日からこの言葉が頭から離れない。
俺にどうしろっていうんだよぉ……。
ぐるぐる考えるうちに、放課後はすぐにやってきた。
「お〜い純夜。そろそろ帰ろうぜ」
「そうそう♪今日の純夜少し変だし帰りにどこかでパァ〜といかない?」
「……ああ、そうだな。パァーといくか!」
こういうとき、親友が心配してくれるってのは本当にありがたい。
行き先を話し合いながら廊下を歩いているとフラフラとこちらに歩いてくる男子生徒がいた。すれ違いさま、急に俺達の目の前で倒れた。
「ちょっとあなた、大丈夫?」
紗季が駆け寄って声をかける。微かに息はしているがかなり辛そうだ。
「とりあえず保健室だ、純夜!」
「ああ、わかった」
二人で担ごうとすると倒れた生徒がビクリと跳ね、背中がボコボコと盛りあがり終には大きな翼が開かれた。
「なっ―魔物か!?」
目が爬虫類のようになり、肌の所々に鱗のようなものが見える。
「グギァァァァァ!」
人の声ではない。紗季を睨むと急に紗季目がけて襲って来た。祐希が防ごうと間に入ったが一瞬でなぎ払われた。
「ガハッ…!!」
「祐希!」
頭から少し血が出てぐったりしているが命に別状はなさそうだ。
「…クッソ!」
――生物を媒体とする――
昨日の藤田の言葉が蘇った。
逃げたか助けを呼びに行ったか、周りには誰もいなくなっていた。
「く…あぁっ……」
魔物が紗季を片手で持ち上げ首を締め付ける。そうしてる間に魔物の姿も人の形から逸脱していく。
「紗季ィィ!コイツ!その手ぇ離しやがれェェ!」
持っているカバンを思いっきり投げつけたがその手は緩まない。
ただこちらに目と手を向けだけだ。
「うおぉぉぉぉ!」
全力で拳を振り上げ突っ込んだ。
「えっ……ゴハッ……」
あれ?俺の腹に何か刺さって…やがる…。
ポタポタと血が滴る。魔物の爪が腹を貫き、次の瞬間投げられた。
俺ここで死ぬのか……力さえあれば……紗季を助けられるのに…………

「チカラガホシイノカ?」
誰だ?……どこ…から…
「チカラガホシイノカ?」
頭……に響いて…くる……
「チカラガホシイノカ?」
欲しい……あの悪魔を倒す力が…欲しい!!

「ナラキサマノカラダヲヨコセ!」

『いつ狙われてもおかしくない』
藤田の言葉を思い出したがもう、どうでもいい!

ああ…わかった……持って行きやがれェェ!!

身体が光に包まれたかと思うと、その次の瞬間には長い白髪に白い肌という姿に変わっていた。
光に包まれたとき違和感は感じたが、傷も蓋がってるし身体も軽い。これなら!

魔物に向き直る。
「うぉぉぉぉ!」
殆ど一蹴で魔物に接近し顔面を殴りつけた。魔物は後ろに倒れ、紗季を掴んでいた手が緩んだ。

「大丈夫か?紗季!」
「ゴホッ…は…純夜…なの?」
「ああ、見た目は前のが良いけどな。ゆっくり休んでろ」
「ちょ、純夜……!」
魔物が起き上がり俺の血の着いた爪を伸ばし迫ってきた。
「二度同じ手はくわねぇ!!」
振り上げられた爪を避け懐に潜り腹に一撃!そして…。
「これで…最後ォォ!!」
ドゴッ!顔面に強烈な蹴りを入れた。
魔物は後ろに仰け反り大きな音を立てて倒れた。すると魔物の身体から煙が吹き出し男子生徒の姿に戻った。
「なんだよ?魔物になった人間はもう戻れないんじゃなかったのか?」
気付くと自分の姿も元に戻っていた。
「って…あれ?…力が…抜け…」
「じゅ、純夜!!」
ここで俺の意識は途絶えた。



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