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第12話
writen by いっと
『オキロ』
跡地に人などいなかったはずだが…。
『イイカラ、オキロ』
その声は…まさか…。
俺は…涙を散らして…ん?
『ハヤクオキロ』
「…うわぁ!」
目の前には白い壁紙。白い掛け布団。
『オキタカ』
「うわぁぁ!あ!?」
どこからともなく聞こえる声が、今度は頭の中も真っ白く染めていく。
『イイカ、ヨクキケ。コレカラ“デブリス”ニイク』
「い、いや、ちょっと」
頭が真っ白だからといって、話をそのまま詰め込めるかといえばそうでもない。
『ユカニ、マホウジンヲカクノダ』
ま、魔方陣?とりあえず声に従った。ベッドから飛び降り、床に指で魔方陣を描く。指がたどった軌跡は緑色に輝き、うす暗い俺の部屋を照らすほどだ。
「あれ?これでいいのかな…」
寝ぼけているからだろう、何も考えず日曜日に圭ちゃん先生と練習した魔方陣を描いていた。
『ジュウブンダ』
状況はまだ飲み込めないが、少しずつ落ち着いてきたぞ。
この声は確か…。
『ハヤクマホウジンニノレ。イクゾ』
「う、うわぁ!」
目の前が今度は赤く輝き、炎の渦が俺を包んでいくようだった。



目を開けると、仰向けになっているのに水面が見える。遠く向こうで揺れていて、光を反射している。光は向こう側から差し込んできているようだったから、ここは水の中…なのだろうか。
『起きたか』
「あ、うん」
返事をしながら身体を起こす。2度目の目覚めは心地よく、伸びまでしてしまった。
息ができることを考えるとどうやら水中ではないらしい。でも、頭の上に広がっているのはやっぱり空ではなく水面だ。

一方、地面はごつごつした岩肌が広がっている。立って辺りを見回すと、あちらこちらは崖になっていることがわかる。
『ここが“デブリス”だ。驚いたか?』
相変わらず声の主は見当たらないが…なんだか聞こえてくる声が、さっきよりはっきりしているような気がする。
「…もっと暗くて、なんか棘とかあって、魔物がいっぱいいる恐ろしい場所だと思ってたんだけど」
『期待にそえなくて申し訳ないな。そういう場所もないわけではないが』
そういう場所に飛ばされなくてよかったよ。
『会わせたい者がいる。これから案内する』



「も、戻る方法が…!」
声に従って歩き出してしばらくすると、苦しみに満ちたヒトの声が聞こえてきた。目の前で、男が地面にうずくまっている。
男の様子を見ても、どのくらいここにいるのかさえ検討がつかなった。
「会わせたいのって、まさかこの人?」
念のために聞いてみたけど。
『…違う』
やっぱりな。
「“デブリス”の魔物を媒体にしてやって来れたのに!」
うずくまったまま男は叫ぶ。

―――魔物はこちらに住む生物を媒体として、移動してきていると考えられる―――

頭の中で藤田の言葉がよぎった。なるほどな、どうやら相手側の世界の生物なり魔物なりを媒体にすれば、俺の世界もデブリスも自由に行き来できるってわけか。俺にしては冴えてるね。
『鋭い考察だな』
「うわっ、俺の考えも聞こえんの?」
『なんとなくだが』
これは困ったなあ…。もしかして、あんなことや、こんなことまで…?
『いいから急ぐぞ』
俺の考えを断ち切るような声で言った。
「この人置いていくの?」
『自業自得だからな。男の首筋を見てみろ』
言われたとおり見てみるとあの印があった。俺の腰についたものに似ているけど…形がいびつだ。
……もしかすると、無理に契約しようとした、その結果なのか…?
『そういうことだ。もう行くぞ』「わ、分かったよ」

…やっぱり『なんとなく』じゃなかったようだ。



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