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第13話〜前編
writen by みなっきー
頭に響く声に従って、植物すら生えていない殺風景な岩場を進む。
それにしても会わせたい人って誰なんだ?そもそもコイツを信用していいのか?
いや、コイツも魔物だ…。やっぱり信用しちゃマズいよな…。
でも、ユリッチは俺らに協力してくれる魔物だって言ってたし…。
かといって―――
『少し静かにしてくれ。あと俺は信用してもらっていい』
「しまった…。筒抜けかよ…。考えてる事が分かるなんてプライバシーの侵害だぞ!」
『別に思春期のお前が、どんな性癖を持っていても軽く流せる力量はある』
「最悪だァァーーー!!」
『立ち止まるな。歩け』
純情な高校生のハートをズタズタにされつつ、歩き続けた。
「なぁ、いつまで歩くんだ?」
かれこれ1時間以上歩いている。
『もうすぐだ』
またこれだ。
「もうすぐだって何回目だよ?」
『6回目だ』
律儀なやつだ。
…そういえば、コイツのこと、何も知らない。
ただ、魔物だと言うことだけで…。
『グラスファリア・ローヴェル・ゼーテ』
「え?」
『俺の名だ。グラスファリア・ローヴェル・ゼーテ』
「…長いな」
『仕方ないだろ』
「……よし。グラスって呼ぶわ」
『………好きにしろ』
グラスは名前以外教えてくれなかった。これから会う人がすべて教えてくれるんだ。きっとそれだけだ。
「…まだ着かないのか?」
『もうすぐだ』
「だァァーー!もういいって!何回その――」
『着いた』
「は?」
着いたと言われた場所。そこは何も変わらない殺風景な景色。
「…誰もいないぞ?何もないし…」
『指を切れ』
「…何?」
指?ふざけるな。俺には親指も人差し指も中指も薬指も小指も全部大切なんだよ!あれか?20本もあるから1本ぐらいなんて言うつもりか?アンタ鬼だね!あ、魔物か。
『落ち着け。指を切り落とせなんて言っていない。少し傷つけろ』
「なんだ」
心底安心した。
「でも痛いから嫌だ」
『魔物を呼び込んで腕一本を落としてもらうでもいいぞ?』
「切ります」
俺はそこらへんに落ちている石を吟味して、一番鋭くて痛そうな石を選んだ。それを自分の左手の人差し指に押し付ける。
「いッ…」
ぷくっと血がでてくる。
『血を地面に垂らせ』
言われた通り、傷を地面に向け血が落ちるのを待った。
―――――ポタ…。
ピピピピピピピピピッ。
瞬間、周りに無数の電子モニターが現れ、俺を取り囲んだ。
<DNA:0854967に一致>
<魔力指数:0854967に一致>
<性癖:0854967に一致>
<コード0854967:JUNYA UESUGIと断定>
<精神安定状態につき侵入を許可>
「待てェーい!今『性癖』って言ったろ!しかもそれで断定しなかったか!?」
『空間転移する。舌噛まないように黙ってろ』
岩場はいつもの静けさを取り戻した。
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